「岸田降ろし」静寂の自民党 八方ふさがり露呈 衆院3補選全敗

有料記事春の衆院補選2024

笹川翔平
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 衆院3補選全敗は、岸田文雄首相と自民への不信の高まりを如実に示す結果となった。党内では首相による衆院解散と9月の総裁選再選にも否定的意見が圧倒的だが、党執行部の責任を問う声は表だって上がらず、今のところ「岸田降ろし」の動きも見られない。党内を支配する奇妙な静寂は、首相と自民の置かれた八方ふさがりの状況を表しているかのようだ。

 選挙から一夜明けた29日、首相は終日、公邸にこもった。首相に最も痛かったのが「保守王国」島根での敗北だ。自民候補劣勢が伝えられる中、自身の強い意向で異例となる2回の現地入りをしたが、立憲候補に惨敗。衆院任期満了や参院選を来年に控える自民議員らに、首相は「選挙の顔」にならないと強く印象づけた。

 首相はもともと訪米の成果を携えて補選で勝利を収め、衆院解散・総選挙に打って出る戦略を視野に入れていたが、足元の岸田派若手からも「この状況で解散したら大変なことになる」と悲鳴が上がる。無派閥中堅は「島根でこの負け方なら、今選挙をやれば自民議員のほぼ全員が負ける」と語り、首相自らが潔く身を引くことを期待する。

 とはいえ、二つの理由で「岸…

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2024年4月30日9時21分 投稿
    【視点】

    「自民が壊れるかという瀬戸際」だからこそ、活発な党内論争があるべきですが、それもなく総裁のあり方も議論できないというところが、ポイントでしょう。結局誰も黙っているだけというのが、「決められない自民党」の現状です。統治政党としての役割を見失っ

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2024年4月29日21時8分 投稿
    【視点】

    これから後半国会で政治改革の取り組みが求められているときに、「岸田おろし」などをしていたらますます自民党への信頼は低下して逆効果になりそうですね。国会が終わった後、9月の総裁選に向けて岸田首相交代の流れをつくっていくというのが正攻法なのでし

    …続きを読む
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